カラテカ矢部さん『大家さんと僕』を読んでみた
カラテカ矢部さんのコミックエッセイ『大家さんと僕』
姉に薦められて読んでみました。
1階には大家のおばあさん、2階にはトホホな芸人の僕。挨拶は「ごきげんよう」、好きなタイプはマッカーサー元帥(渋い!)、牛丼もハンバーガーも食べたことがなく、僕を俳優と勘違いしている……。一緒に旅行するほど仲良くなった大家さんとの“二人暮らし”がずっと続けばいい、そう思っていた――。泣き笑い、奇跡の実話漫画。
お笑いに少し疎いのでカラテカ矢部さんについても、本についての前情報もほぼなく読んでしまいました。そのため読みながら、
えっ、えっ、これよくある、最後泣かせようとしてくるやつじゃないの?!
ってヒヤヒヤしながら読み進めましたが、結果から言うと取り越し苦労でした。ただただほっこり、くすっと笑えて幸せな気持ちになります。
何と言っても大家さんが上品でとってもチャーミング。
私自身は幼い頃、祖母が
「戦時中はこんなもの食べれなくて…」
とか、
「昔はこんなことできなかったのに感謝しなさい」
って説教臭く話すのがすごく苦手でした。
でもこの大家さんはそんな居心地の悪さを感じさせない。多少はあるのかもしれないけど、矢部さんもそれを楽しんでるような気がするし、絵のやわらかいタッチと相まってとても優しい気持ちになりました。
最初は大家さんとの距離感に戸惑いつつも終盤ではチャラい後輩が大家さんと楽しそうにしてるのを、ちょっぴり嫉妬しちゃってる矢部さんもまた可愛い。
そして糸井重里さんの帯のコメントもすごく良い。
この時間が、永遠のように思えてくる。
映画のキャッチコピーのような、それでいてこの本を端的に表した素敵なことば。人間が生き物である限り、永遠はあり得ないと私は思っているのだけれど、大家さんと矢部さんの間には永遠を願わずにはいられないです。
ぜひ続編を描いて欲しい。
糸井重里さんのキャッチコピーは前から気になっていて、『ボールのようなことば』もとても好きな本です。
この話はまた別の機会に。
◻︎追記
『大家さんと僕』つながりの記事を投稿しました。