『大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ』を読んで
以前、『この世界の片隅に』の記事を書きました。
それに関連して、本屋で見つけたこの本。
『大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ』を読んでみたのでその感想を書きたいと思います。
本書では5つのアニメ作品を挙げて、そこから日本のアニメを語るという5部構成。
目次を引用すると
1. すべての映画はこれからアニメになる『シン・ゴジラ』という庵野秀明の革命
2. 世界標準の「ルック」とはどういうものか『君の名は。』のもつ宇宙サイズの構造
3. 誰も語らなかったジブリ作品の『変遷』原作版『風の谷のナウシカ』から読み解く
4. 緻密な演出が「優れた」SFドラマを生む『機動戦士ガンダム』と富野由悠季の思想
5. そしてアニメは新次元に到達した『この世界の片隅に』のすごすぎるリアリティ
ガンダムに関しては観たことないのでわからないことも多かったのですが、その他はよく知ってる作品だったので
こういう見方があるのか!
と面白く読めました。
まえがきで評論というものが必要な理由について
作品を観る読者は、一人ひとり違う人生経験をもっている。経験によって作品に抱く印象はまったく変わってくる。
と書いているのですが、この本の中で書かれている『シン・ゴジラ』に関する解釈についてはまさにそんな感じ。
特にシン・ゴジラの特撮シーンのCGはいい具合に<けれんみ>*1を利かせているらしい。
リアルなCGを作ろうとすると物理演算を使って家屋の瓦が吹き飛ぶシーンをリアルに再現しようとするけれど、庵野さんの表現は物理演算にアニメ特有のデフォルメを取り入れているからやたらとかっこいいらしいのだ。
私は仕事柄やたらと街の風景だとか建物が壊れていくさまばかりを注目していたけれど
ジャンルの違う他人の批評を読むだけで、次見るときは同じ映画でまた違う楽しみ方ができる。
この本のまとめとして最後に『この世界の片隅に』についての批評があって、
この映画ができたことによってこれからのアニメは新しい時代になると書いていたのが印象的だった。
そういえば『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』*2の公開を待ち望んでいたのだが、公開延期になっていたなぁ。
2019年中には公開してくれますように。
その話はまた次の機会に。